根管治療の症例

歯根の先に膿がたまった歯茎の腫れ⇒マイクロスコープ再根管治療で溶けた骨を再生

院長の小笠原です。

今回は根管治療の症例をご紹介します。

こちらの治療は当院のYoutubeチャンネルで解説動画で紹介しています☟


別の歯科医院からの紹介患者さんです。
40代男性。
昔、神経を抜いた歯の歯茎が腫れている。
かかりつけの歯医者では治せないと言われたため、専門の歯医者を紹介された。
との事です。

当院ではマイクロスコープを使った、専門的な根管治療を行なっています。
他院で「根管治療が治らない」「抜歯しないといけない」と言われた歯でも、精密な根管治療を行なうことで、歯を抜かずに保存しています。

根管治療が再発(いわゆる失敗)した場合、根の中に細菌が繁殖して膿んでくることがあります。
病状に合わせて、根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)、歯根嚢胞(しこんのうほう)と病名がつけられます。
根の先は歯槽骨(しそうこつ)と言って顎の骨があります。顎の骨の中で膿がたまり、顎の骨が溶けてきてしまいます。
しっかりと根管治療を成功させることで、溶けた顎の骨は再生し、その後症状が無く生活することが出来ます。

では、治療後の治った様子と治療のご説明します。

お口の中を見てみましょう。

歯茎が腫れたおでき
下の歯の6番目と7番目の歯です。

矢印にありますが、6番目の歯茎ができものが見られます。歯茎が腫れています。
こちらは頬っぺた側から見た状態なのですが、ベロ側(舌側)から見てみると、

歯茎の下にできもの

舌側では7番目の歯茎の下にできものがあるのが分かります。

ではエックス線写真で、歯の内部を確認しましょう。

X線7番目の歯

7番目の歯は神経を取ってあります。

矢印の先に白い線が根の先に延びています。神経を抜いた歯は、根管充填と言って材料で密閉します。材料が造影作用と言ってレントゲンで白く写りますので、神経を取った歯が良く分かります。6番目の歯にはありません。

矢印右側の根の方は途中で途切れていて、しっかりと密閉されておらず上手く治療されていないのが分かります。

骨が溶けている場所ですが、根の先に黒い影が見えます。示してみると。

骨が溶けている歯

この範囲で黒い影があるのが分かります。

この場所が顎の骨が溶けています。

エックス線写真は2次元の平面の記録ですので奥行きが分かりません。3次元的な記録であるCT検査を見てみましょう

CT:骨が溶けている歯

こちらはCT撮影の画像です。より鮮明に根の先の黒い影が広がっているのが分かります。

7番だけでなく6番の根っこまで広がっています。
こちらは横からの断面です。

では、歯を輪切りにして断面を見てみましょう。
断面CT画像:骨が溶けている歯

歯の断面から見たCT画像です。
根の周囲に広範囲に顎の骨が溶けているのが分かります。

6番目の歯まで根の先が黒く膿んでいました。6番の歯は神経を取っていない歯です。
歯髄診といって、神経が生きているかどうかを検査してみると、神経が生きている反応はありませんでした。
では既に神経が死んでいるのでしょうか?ここは非常に難しい所で、判断に迷います。

結論を言いますと、6番目の歯は7番目の細菌感染に巻き込まれて仮死状態になっていました。
7番目の歯を治療することで、組織が正常に治癒をして、6番目の溶けた骨も再生しました。

では、治療に入りましょう。

根管治療をするためには準備が必要です。

  1. 被せ物と支台築造物の除去(まずは全ての被せ物と詰め物を外します)
  2. 虫歯の除去(虫歯が残ってると再感染を起こします)
  3. 隔壁(再感染を防ぎ、根管治療ができるように歯を補強します)

ここまで準備ができると、やっと根管治療へ入ります。この準備を怠ると、根管治療は失敗します。

特に「隔壁(かくへき)」というこちらの処置は、日本の保険治療の適応範囲外です。

治療の経過をお口の中の写真で見てましょう。

接着剤が黒く変色した奥歯

・銀歯を外した所です。銀歯が入っていたため接着剤が黒く変色し、表面に残っています。

 

古いレジン

・前回、根管治療をする際に歯の中を削っています。その空洞をレジンで埋め固め支台築造がされていますので削り進めます。
 まだ白っぽいレジンが残っているのが見えます。

う蝕検知液

・築造されたレジンを削り取り、う蝕検知液という虫歯を染色するお薬を塗ってみると、ピンク色に染色される虫歯が見られます。
 虫歯が残っているため、これを除去しない限り治ることはありません。

根管とガッタパーチャ

・虫歯を取って、歯の中を見てみると根管が見えてきます。矢印で示した所です。根管に入れられているガッタパーチャという充填材が見られます。ここからが根管の入り口となります。この先の根管を清掃し、消毒していくのが根管治療です。

外側の歯の残量がなく、歯の壁が崩壊しています。ここから唾液など入ると、再感染する恐れがあります。そのために隔壁処置を行います。

レジンで隔壁処置

・レジンで歯に接着させて壁を作りました。これにより外側から感染が防げるほか、ラバーダムという装置を取り付けて根管治療を行なうことが可能となります。崩壊している歯ではラバーダムを装着することは出来ません。

仮の蓋

・仮の蓋で埋めています。これで次回から根管治療を行ないます。

根管治療については当院のYotubeチャンネルの治療動画で紹介しているので、今回の症例は省略させてもらいます。

https://www.youtube.com/playlist?list=PLfKg8EJs8dAhc_iJB97_dQPt9cLEPYV6j

当院はマイクロスコープやラバーダムを用いて専門的に精密な根管治療をしている自由診療の歯医者です。

今回は根管治療に3回かかりました。

根管充填といって清掃した根の中に薬剤を入れて密閉したCT画像をお見せします。充填材料にはMTAセメントを使っています。

CT画像:充填材料

・根の先までしっかりと材料が入っているのが確認できます。

断面画像:充填材料

・歯の断面を見ると、根管1つずつにしっかりと密閉されています。

治療中から、歯茎の腫れは無くなり回復している傾向にありました。
根管充填後も特に症状は無かったため、最終的な人工歯(クラウン)を装着して治療を終えました。

では、その後の治癒を見ましょう。
こちらは半年後のCT画像です。

半年後CT画像:骨再生

・よく見ると、根の先の黒い影が消えてきています。

骨が溶けていた名残りが分かりますね。骨の再生ですが、骨は再生のスピードは遅く、徐々に徐々に周囲から骨が作られてきます。例えば、骨折した場合、ギプスをつけて固定し、骨がくっつくのを3カ月間待ちます。

今回は溶けていた範囲も大きかったため、半年でこのぐらい再生、回復しています。さらに半年待つと骨が白く固まっているでしょう。

もう一度、治療前のCT画像です☟

治療前CT画像

かなり黒く、手前の歯まで広がっていたのが分かります。

断面のCTを見てみましょう。

治療前断面CT

・どこが治ったのか分からないくらい骨が回復しています。

術前のCT画像をもう一度だしましょう☟

治療後断面CT

綺麗に治ったのが良く分かります。

途中の方で、6番目の歯もやられていたことをお話したと思います。

治療をすると6番目、7番目ともに骨が再生しているのが分かります。つまり今回治療をしていない6番目の歯は、ただ巻き込まれていたのが分かります。

治療前は、歯髄の反応がなかった6番目の歯ですが、治療後に歯髄診で神経の反応がありました。

ここは注意点なのですが、担当医が判断を見誤った場合、健康な6番目の神経を取られる可能性があるという事です。

先日、当院にセカンドオピニオンでお越しになった他の患者さんであったケースですが、

上顎4番目、5番目、6番目の歯に、今回のような黒い透過像を認めた患者さんがいました。担当医では治療が出来ないと、口腔外科を紹介されたようです。口腔外科からは4番目、5番目、6番目全ての歯を歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)と言って、外科的に歯茎を切開し、膿と、感染している歯の根っこを切除する手術の説明をされたようです。当院では5番目の歯が主な原因で、5番目の歯をしっかりと根管治療を行なうことで治癒が可能であると考えました。つまり手術をする必要は無いという事です。こちらの症例もいずれご紹介しようかと思います。

話を戻しまして。

必要な治療はしなければいけませんし、しなくて良い治療はする必要はありません。中には体の回復や、経過をみて判断することも医療には多くあります。今回のケースも、患者さんとしっかりと相談をして経過を見ながら進めました。

「顎の骨が溶けている」=「抜歯」ではありません。

他の患者さんの経験ですが、担当医から「顎の骨が溶けていて、早く抜歯をしないとあとでインプラントをしたくても出来ない」となかば脅されて、抜歯を選択したようです。当院にセカンドオピニオンでいらっしゃいましたが、既に抜歯された状態でした。担当医がインプラントをしたい場合、インプラントが施術できるように抜歯が治療の選択となることが多くあります。根管治療をしっかりとすれば、抜歯しなくて良い歯が日本には多く存在します。

このケースのように、一見かなりの広範囲に顎の骨が溶けて膿んでいて、治らなそうなケースでもしっかりと根管治療をすることで骨がしっかりと再生して治癒することもあります。

歯の抜歯は最終手段です。まずは別の医院で見てもらうことや、専門的なセカンドオピニオンを受けることを検討してください。

当院は全国からセカンドオピニオンの受けに来る患者さんが多くいます。

お気軽にご相談ください。

この記事の著者・監修者:院長・歯科医師 小笠原慶一

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