ジルコニアで治療するも、フロスが引っかかる。原因は？歯の治療を自費で受ける前の注意点。

2025.02.25

世田谷・目黒区、自由が丘駅南口徒歩3分の歯医者
デンタルアトリエ自由が丘歯科の院長の小笠原です。

当院では虫歯治療を保険適応外で専門的に行っている歯科医院です。他院では対応できなかった患者さんが来院されます。そして当院ではセカンドオピニオンを推奨し提供していますので、歯の治療で悩んでいる患者さんが全国、海外からも来院されます。

今回は他院で治療を失敗されたケースをお話したいと思います。
歯の治療は、それだけで患者さんは大変なものです。さらに失敗されたとなると、治療費はもちろん精神的にも辛くなります。
このような患者さんが少なくなることを願います。

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他院で銀歯を外して、ジルコニアインレーやクラウンで白く治したようです。

銀歯が外れて歯医者へ行ったところ、担当医に勧められて全体的に銀歯を外してやり直す治療を受けたようです。
その歯医者の言い分は、「銀歯は腐食するから、ジルコニアにした方がいい」という事だったようです。

歯医者に言われるがままに治療を受けて、今まであった銀歯を数か所治したとのことでした。
ジルコニアで治療した後に、清掃で歯の間にフロスを通すも引っかかって切れてしまう症状が出るようになり、担当医に相談したところ、「そのように治してあるから、フロスではなくて歯間ブラシを入れて」と言われ、対応してもらえなかったようです。
そのため、不信に思い当院で検査を依頼されました。

動画にもありますが、治療した箇所を見てみると、治した歯の全てが上手く治療されていません。
①ジルコニアのサイズが合っておらずズレている
②セメント（接着剤）の取り残しが固まって残っている
そのためにフロスの糸が、詰め物のズレたところや、セメントがバリになっているところに引っかかってしまいます。

このままにしておくと、段差に食べ物が停滞し細菌が繁殖するリスクがあります。
しかし治療となると、すべてのジルコニアを外して、治療をやり直す必要があります。

今回のケースから、
歯の治療を自費で受ける前に考えなければならない問題点を解説します。

1 ①銀歯は腐食するからやり直さないといけないのか？
2 ②なぜ上手に治らなかったのか？
3 ③フロスが引っかかるままにしておいていいのか
4 《まとめ》

①銀歯は腐食するからやり直さないといけないのか？

私からするとそのような理由で治療することはありません。
確かに銀歯は経年的に劣化はします。耐久年数は５年から７年とも言われます。しかし、虫歯や歯が悪くなる原因は「銀歯が入っているから」だけではありません。他の要因が多くあり、銀歯でも長年安定している方もいます。
ですので、銀歯をやり直す理由としては、
①患者さんの審美的要求（白くしたい）
②検査で銀歯の下の虫歯が見つかった
③銀歯が合ってなくて虫歯のリスクがある
などです。
当院でも患者さんとよく相談して、患者さんの同意、ご希望の上で治療に入ります。
人によって状況が違います。①虫歯リスクを考慮して②銀歯の状態をチェックして、治療に進むことが必要だと思います。

過去の患者さんを見ると、歯医者のセールストークで銀歯を外された方が多くいらっしゃいます。そのような方々の多くは上手く治療がされていません。口の上手さと、腕の上手さはイコールにならないことが多いです。

②なぜ上手に治らなかったのか？

今回のケースですが、フロスが引っかかる原因は「詰めた物が、歯に合っていない（ズレて段差になっている）」これによりフロスが段差に引っかかります。
詰め物、被せ物が歯に合っていないことを「不適合（ふてきごう）」という言い方をします。

そもそもなぜ歯に合わなかったのでしょうか？
それはインレーやクラウンの人工歯を作る際のエラーが問題となります。
今回のジルコニアに限らず、人工歯を作る工程は

①人工歯が入るように歯の形を整える（歯科医師）
↓
②歯の型を取る（歯科医師）
その取った歯型をもとに
↓
③人工歯を製作する（歯科技工士）
↓
④人工歯をセットする（歯科医師）
という流れで治療が進みます。

この際に、本来の歯と取った歯型が同じでなくてはいけません。
そうでなくては作った人工歯は本来の歯と違ってしまいます。

ここで影響するのは、担当者の技術力となります。
精度の良い歯型を作らなければズレますし、その歯型をもとに、精度の良い人工歯を製作しなければズレます。

歯型を取る方法も、
お口の中で固まる「粘土のような材料」を使います。最近ではカメラで撮影する「スキャナー」を使って歯型を作る場合もあります。どちらにせよ、使う材料や器械の精度が悪い場合は、悪い仕上がりになります。逆に良い材料を使う場合はコストがかかります。

そして最終的な歯を製作する、歯科技工士の腕も大きく影響します。
細かな歯を作る歯科技工士は職人です。技工士の腕次第で出来上がったものに大きな違いが出ます。

正直な話、歯科技工士に製作を依頼しますが、技工士によって料金が違います。
腕の良い歯科技工士に依頼すると、製作費が高くかかります。
逆に、大量生産するような技工所に製作をお願いすると安くすみます。
ということは、一概に言えないかもしれませんが、あまり治療費が安いところは注意が必要かもしれません。

また、治療の期間が短く終わるのも良いことではありません。歯型を取って次回の来院までの期間が短い場合、制作を急ぎ行っている場合があります。急ぐということは、精度が良くないと思った方が良いです。
セラミックなどの自費で製作する歯の製作期間は、最低１本でも、ちゃんとしたものを作る場合１０日前後かかります。

③フロスが引っかかるままにしておいていいのか

治療後にフロスがひっかかるのは、詰め物や被せ物の不適合とお話しました。そのままにしておいても問題ないのでしょうか？

最初に少しお話しましたが、歯と詰め物に段差があるということは、その場所に食べ物が停滞しやすいと言えます。そして汚れが蓄積すると、そこで細菌が繁殖し、再度虫歯になったり、歯周病が発症するリスクがあるという事です。

ご自身でこまめに清掃をして汚れを取り除いてもらえれば、すぐに悪くなることは無いとは思います。しかし、長い目で見ると蓄積した汚れにより状態が悪くなることも考えられます。
ちゃんと治療が出来ていれば、歯の手入れにそこまでの労力は必要ないでしょうし、不安もありません。

やり直すとなると、詰め物を壊して外し、再度歯を作り直す必要が出てきます。
注意点とすると
①やり直す際に多少なり歯をさらに削る必要があること
②担当医の技量が劣る場合、やり直しても上手く治らない
という事が挙げられると思います。

前の項目でもお話ししました、歯の治療は歯科医師の技術力によるところが大きいです。もともと上手く治療が出来ない先生が、やり直して上手く出来上がる事は不可能かもしれません。
自費の治療はその病院で保証がもうけられている場合が多いのですが、費用がかからなかったとしても治らなければ意味がありません。

他の上手な先生に頼んだとすると、再度治療費がかかります。上手く治せなかった先生が治療費を返却してくれれば良いのですが、どう対応してくれるかは分かりません。

《まとめ》

日本という国では保険制度が決められており、最低限の医療を受けられる国です。そこに治療の質は求められていないのが現状です。

歯科医師は大学を卒業し、国家試験に合格すると免許をもらえます。それはただのペーパーの試験です。治療の技術は、免許を取ってから自分で訓練して取得していくのが普通です。
実際には様々な先生がいます。日々、技術訓練をするために勉強会に参加して腕を磨く先生や、ただただ日々の診療をこなして生活している先生など、歯科医師の技術力には大きな差が存在しています。客観的に先生の腕は分からないのが困ったところです。

少しでもこのような被害が少なくなることを祈るばかりです。

過去のブログでも説明しています☟ご参考にしてください。
・自費で治療を受けたのに失敗された
・今通っている歯医者に不安があるけど、どうしたらいい？歯医者選び
・他院でインレーを入れてもらうも不調がある
・治した歯がフロスで引っかかる

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